山田詠美

まずなによりも!
やまだえいみ→山田詠美の一発変換に感激!笑

 トラッシュ
山田詠美に対する認識が変わった作品。読み終わってまず「あれ?山田詠美ってこんな作家だっけ?」と驚いた。

 ココは、彼の首筋に口づけて言った。
「さっき、あなた、私に後始末つける義務なんてないって言ったわね。私、そんなことで、ジェシーを気にかけたりするんじゃないのよ。人と人との関係に、後始末も、義務もないのよ。……人には、いろんなことがあるのよ。それが積み重なって今があるのよ。胸を痛くする思い出は自分を傷付けているのかもしれない。でも、それをトラッシュ缶に捨てる訳にはいかないのよ」

「何が良くて、何が悪いかってことを見極めるのは、この国では、とても難しいことだよ。……冷静に判断して良い方向に行かなきゃ。そうしようとしている人は多いし、でも、その人たちだけしか認めてあげないって言うんじゃ、片手落ちだと思うな。人の仕様のなさって、拡大されてるか縮小されてるかのどちらかで、誰でも同じ要素を持ってる。だからね、ジェシー、君のダディの価値は、きみが決めなきゃ。誰がなんて言おうと、きみの心ん中の彼を大切にしなきゃ。ぼくの言ってること、解る?」
「うーん。解るような気がする」
 ココは、心地良い酔いにまかせて、テーブルに肘を突いて、ジェシーの様子を見ていた。

宮本輝が文庫版に解説を書くわけだ、と妙に納得。
トラッシュは、第30回女流文学賞を受賞。
(←メジャーな賞みたいなんだけれど…詳しくはわからなかったw)
「ジェシーの背骨」は姉妹作品(?)といえる短編。